2010 ストリートファイター

2010 ストリートファイター：未来を舞台にしたサイバーパンクアクション

1990年、カプコンよりファミリーコンピュータ向けに発売された『2010 ストリートファイター』は、シリーズ名とは裏腹に、対戦格闘ゲームとは全く異なるアクションシューティングゲームです。2010年の未来を舞台に、サイボーグ警官ケビン・ストレイカーが、惑星を脅かす凶悪な犯罪組織パラサイトと戦う物語が展開します。

開発にはカプコンとステイタスが協力し、『大魔界村』の山本尚司氏がゲームデザイン、『ストライダー飛竜』の民谷淳子氏が音楽を担当するなど、豪華な制作陣が結集しました。その結果、独特の雰囲気を持つ、重厚な世界観が作り上げられています。

ゲーム内容は、横スクロールアクションがベース。しかし、単なるシューティングゲームではなく、格闘ゲームの要素も取り入れられています。プレイヤーはケビンを操作し、銃撃だけでなく、近接格闘も駆使して敵を倒していきます。ステージ構成も独特で、限られた時間内に次々と襲いかかる敵を倒し、脱出を目指すという、緊張感あふれる展開が特徴です。この独特の操作性とゲーム性は、当時、プレイヤーから賛否両論を巻き起こしました。爽快感よりも、パズル的な要素が強く、慣れるまでには相当な苦労を強いられるゲームデザインだったと言えるでしょう。

北米版では『Street Fighter 2010: The Final Fight』として発売され、キャラクター名や設定、ストーリーなどが変更されています。北米版では、初代『ストリートファイター』のケンをモデルにしたキャラクターが主人公となり、殺された親友の復讐を誓う物語となっています。しかし、この北米版のケンは、後のシリーズには一切登場しません。

グラフィックは、当時のファミコンゲームとしては高いレベルにあり、細密でリアルな描写が魅力です。敵キャラクターのデザインも個性的で、独特の世界観をさらに盛り上げています。一方、音楽は、緊張感と躍動感あふれるサウンドで、ゲームの雰囲気を効果的に演出しています。

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは25点（満点40点）と、比較的高い評価を得ました。レビュアーからは、爽快感に欠ける面を指摘しつつも、敵を倒して脱出する過程がパズルとして楽しめる点や、面クリア時の達成感などが肯定的に評価されています。また、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票によるゲーム通信簿でも、17.76点（満点30点）という高評価を得ています。

『2010 ストリートファイター』は、シリーズ名とは異なる独自のゲーム性と世界観を持つ、異色の作品です。難易度が高いながらも、その独特な魅力で多くのプレイヤーを惹きつけました。近年ではバーチャルコンソールで配信されているため、現代のプレイヤーも当時の名作を体験することができます。独特のゲーム性、緊張感あふれる展開、そして魅力的なキャラクターたち。このゲームは、レトロゲームファンにとって、必見の一作と言えるでしょう。

スタッフ

プログラマー：H.M.D.（松嶋延幸）、MOE、YOSHILIM（吉田幸司）
アクター・クリエイター：BENGIE、LUCKY.M、TAMA
シーン・クリエイター：TADATCHIN、NOBURIN
音楽ディレクター：TAMIE（民谷淳子）
企画：MIATA YAMAMOTO（山本尚司）
エグゼクティブ・プロデューサー：PROFESSOR F.（藤原得郎）
スペシャル・サンクス：スコット・マックスウェル

移植版

ニンテンドー3DS バーチャルコンソール
* Wii U バーチャルコンソール

もう一度検索